本格的な鞣しの工程はこれからです。
山口産業さんのご説明から抜粋~~~
1日目 、昔は剃っていた毛ですが、現在は硫化ソーダで溶かします。
その工程から入るのが当社の仕事。
当社では毛皮は作らない、作れないということです。
2日目以降は一切脱毛工程は無いので、この脱毛で失敗すると、男性の無精髭のような、剃り残しのある革になってしまいます。
【50年使用しているドラム。乾燥した日本製の木を使ったドラムは気候にもあっていてメンテナンスもしながらでかれこれ50年稼働。 】
そして、翌日再石灰ということで、石灰というのはライン引きに使うチョークですね。石灰漬けすると、コラーゲンタンパク質の繊維が解されます。 革の裏側を使うスウェードの起毛を良くしようという時は、石灰漬けを長くしてあげて、石灰をたくさん含ませると、繊維が柔らかくなるという効果があります。
逆に、フルグレインレザー と言われるような、表皮を使う場合、石灰の量が多いと、治った傷も繊維が緩んでしまうことによって繊維が開いてしまって、傷が目立ってしまうケースもありますので、この 1日目、2日目から、どんな用途に使うのかを想定して、薬品の入れ具合や時間の調整をしています。
そして、これを1日置きます。ドラムに入れて4時間位回転させて、そのまま漬け込みます。
翌朝、中の石灰をキレイに水洗してから酵素を入れます。
酵素を入れることによって余分な石灰を除去してコラーゲンタンパク質の成分を分解します。
鞣し剤を入れるための準備をしていくということです。
それから、ピックル=辛酸98%の硫酸を水で薄めて、回転しているドラムの中に入れてpH調整をします。 pHを1とか2までガツンと下げて、下げたところで鞣し剤が入ると、皮が腐らなくなります。 化学変化をさせて鞣します。
このように、 毎日毎日違う作業をしています。
ラセッテー鞣しは植物タンニン鞣しですので、二段階に分けて鞣し剤を入れるんですけども、通常、お爺さんの代から当社もクロムなめしをやってきましたけれども、クロムなめしだと、前鞣し、本なめし、っていうのはなくていきなりクロムなめしをしてしまいます。
※現在、山口産業さんではクロム鞣しは行っていません。
【上、画像1番ドラム、下画像2番ドラム。高さの低い変形ドラムを特注して作ったもので、最初はクロムなめしで使っていたが、石灰脱毛で使用を繰り返すことで脱クロムに成功。
今はラセッテー鞣しで使用している。2年前にクロム鞣しはやめたが、クロム鞣しが悪いわけではない 大手ブランドも沢山使用中。 ただ、現在は国産のクロムなめし剤の生産が終了してしまった為、鞣し剤を輸入しなくてはならず、下水の処理コストも下げられる事もあり、現在はクロム鞣しは行っていない。】
その後にシェービング=男性のひげ剃りと一緒で裏削りをして厚み合わせをするんですね。
ただ、植物タンニンなめしの場合は鉄と反応すると黒くなっちゃいます。
ですのであまりここで強く本鞣しまでしてしまうと、シェービングっていうのは鉄の歯で削るものですから、反応して真っ黒になっちゃいます。
大島紬のように、釉薬でタンニンをすりこんで田んぼの砂鉄のある層に入れて、反応させて染めるというような、そんな反応が革に起こってしまうので、ここでは軽く鞣す前鞣し。シェービングで厚みを合わせた後に、もう一度手間なんですけど、ドラムに入れてあげて本鞣しということで、 ミモザアカシアの樹皮を精製したものを更に加えて、鞣しが完成するという作業になります。
ふぅ。
長い道のりですね~~~。
鞣しの工程は多く、長年積み重ねてこられた知恵、知識、経験等、脈々と受け継がれて来た技術があってこそなんですね。
生皮から革への劇的な変化は(なんちゃって鞣しではありますが)実際にやってみて、ものすごい事だなと実感しましたが、、、やっぱりこうやってプロの仕事を垣間見させて頂くと、製品としての革を創るという事の大変さをビシビシ感じます。
さて、次は染色へと続きます。
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